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カテゴリ:会社経営 | 2012-09-21 (Fri)
 いろいろなところで使える交通系ICカード(Suica、PASMO、ICOCA、TOICA等)ですが、小規模な会社での経理処理をどうするかまとめてみました。

【ご注意】 筆者は、内容の正確性を保証するものではありませんので、このエントリを参考にされた結果、何らかの損害を生じても一切責任は負いません。最終的には、税理士や税務当局等の専門家に判断を仰いでください。


 まず最初に、ICカードを、社用にするのか、私用にするのか決めましょう。

【社用ICカードを配布する方法】

 これは、プライベート(個人)のお金と、会社(仕事)のお金をきっちりと分ける方法です。
 社員が私用のICカードを持っていても、会社のお金で社用のICカードを新たに購入して社員に配布します。テプラで会社名や電話番号を印字したラベルを作って貼付しておくといいでしょう(ラベルが剥がれると券売機に詰まりますので、しっかりと貼付してください)。
 
●厳密に仕訳する方法

 ICカードは 2,000円で発売されていますが、そのうち 500円はデポジットで、1,500円がチャージ残高になっています。

・デポジット

 デポジットは鉄道会社に500円を預けているだけで、ICカードを払い戻せば返金される約束になっています(鉄道会社が倒産しない限り)。事務所を借りるときの敷金と同じ性質のものです。したがって、「預け金」あるいは「差入保証金」になります。経費(旅費交通費)ではありませんので、消費税も含まれません。

※ちなみに、鉄道会社から見れば「預り金」という負債勘定になります。英和辞典で deposit を調べると、「預り金」と書いてあります。Suica は 4,300万枚発行されているので(2013年4月現在)、JR東日本は利用客から215億円のデポジットを預かっている(215億円の負債がある)ことになります。もっとも、利用客全員が一斉に払い戻す可能性はなく、払い戻しても利子は付かないので、JR東日本は215億円を無利子・無期限で借りているようなものです。うらやましいですね。

・チャージ

 チャージ残高は、鉄道運賃などの決済に使える部分です。これもチャージ時点では、鉄道会社に「預金」したのであって、流動資産です。この段階では、商品も役務(サービス)も受け取っていないので、経費にできません。自分の銀行口座に1万円を預けた場合、その1万円は経費になりません。自分の資産を他人に預かってもらっているだけです。それと同じ考えです。

 チャージ残高をどの勘定科目にするかが問題ですが、二つくらい考え方があります。

 電子マネーというくらいですから、チャージ残高は流動資産の一種である現金同等物(キャッシュ)と考える方法があります。そこで、会計ソフトの勘定科目「現金」に補助科目「電子マネー」(または、「Suica」「ICOCA」など、適当な名称)を設定します。

 あるいは、チャージした時点では電子マネーの使途が未確定なので、チャージ残高を仮払金の一種と考える方法もあります。このときは、勘定科目「仮払金」に補助科目「電子マネー」を設定します。

 ここでは、前者の考え方を採用して現金同等物とします。現金(紙幣・硬貨)は、「現金」の補助科目「小口現金」としておきます。
 
 小口現金2,000円を使ってICカードを購入すると、500円がデポジット(預け金)、1,500円が電子マネーに置き換わった(両替された)と考えて、次のように仕訳します。
 
(借方) (貸方)
預け金 500 現金/小口現金 2,000
現金/電子マネー 1,500    
 

・利用時

 それ以後は、利用時に次のように仕訳します(ここでは消費税率8%としています)。鉄道会社に預けている「預金」を引き出して、経費として使ったと考えればいいのです。

 この電子マネーで、取引先へ行くのに電車に乗り、540円が引き落とされた。
(借方) (貸方)
旅費交通費 500 現金/電子マネー 540
仮払消費税 40
 
 この電子マネーを使って、コンビニで432円の文房具を購入した。
(借方) (貸方)
事務用品費 400 現金/電子マネー 432
仮払消費税 32
 
 この電子マネーを使って、カフェで324円のコーヒーを飲みながら打合せをした。
(借方) (貸方)
打合会議費 300 現金/電子マネー 324
仮払消費税 24
 
 チャージ残高が減ってきたので、現金で3,000円をチャージした。
(借方) (貸方)
現金/電子マネー 3,000 現金/小口現金 3,000
 
 電子マネーを使うたびに仕訳が発生する面倒さはありますが、完璧です(1日に何回も電車に乗ったときは、その日の乗車金額を合計して、1件の仕訳にしてもかまいません)。最近の交通系ICカードは鉄道以外に、飲食店やコンビニでも利用できますので、実際に何に使ったかを把握して費用化することがポイントです。

 なお、領収書は現金(紙幣・硬貨)でチャージしたときに限って、発行してもらえます。チャージ金額を使ったときは、現金を支払っていませんから、領収書は発行してもらえません。コンビニや喫茶店ではレシートが発行されますが、領収書ではなく利用証明書の位置付けになります。

 事業年度末でのデポジット及びチャージ残高は、貸借対照表の流動資産に計上されます。

・払戻し

 もし、チャージ残高1,000円、デポジット500円の社用カードを払い戻し、払戻手数料220円(税込み)を差し引かれて、合計1,280円の返金を受けたなら、
(借方) (貸方)
現金/小口現金 500 預け金 500
現金/小口現金 780 現金/電子マネー 1,000
支払手数料 204
仮払消費税 16
となります。
 
 チャージ残高を使い切って0円にした社用カードを払い戻し、デポジット500円のみ返金を受けたなら、
(借方) (貸方)
現金/小口現金 500 預け金 500
となります。
 
 これが本来あるべき経理処理になります。私(弊社)も、この方法で厳密に処理しています。

・紛失

 万一、チャージ残高1,000円、デポジット500円の社用カードを紛失したなら、

(借方) (貸方)
雑損失 1,500 現金/電子マネー 1,000
預け金 500
となります。紛失額を社員に弁償させず、会社の雑損失で処理する場合です。

社員に弁償させるのであれば、ICカードを無手数料で払い戻して小口現金に戻したのと同じことですから、こうなります。
(借方) (貸方)
現金/小口現金 1,500 現金/電子マネー 1,000
預け金 500
●簡易に処理する方法

 そうは言っても、電子マネーを使うたびに仕訳を切るのは面倒ということもあるでしょう。一般に、会社の経理に占めるICカードの金額の割合はわずかでしょうから、チャージ時点で全額を旅費交通費に計上する方法もあります。

 2,000円でカードを購入すると、500円がデポジット(預け金)で、鉄道運賃として使えるのは1,500円ですので、次のように仕訳します。

(借方) (貸方)
預け金 500 現金/小口現金 2,000
旅費交通費 1,389
仮払消費税 111    
 日常的に鉄道を利用したときは、何も仕訳しません。

 チャージ残高が減ってきて、現金で3,000円をチャージしたら、次のように仕訳します。

(借方) (貸方)
旅費交通費 2,778 現金/小口現金 3,000
仮払消費税 222
 全額を旅費交通費に計上していますから、ICカードを電車やバスの乗車だけに利用するのが前提です。社用であっても、買い物や飲食に使用すると経理の正確性が保てなくなります。

 社用ICカードを私的に使うのは、当然ダメです。会社の知らないところで、従業員が私的に使っていれば横領です。私的に使うのを会社が黙認していれば、それは給与の一部とみなされますから、税務署に発覚したときに所得税を追徴されます。事業年度末に節税目的で経費を増やそうと、業務上の必要量を超えるICカードを大量に買い込んだり、多額のチャージをするようなこともNGです。

 ワンマン社長がチャージ金額の領収書だけ経理担当者に渡して、ICカードを業務外に使いまくっているようなことがあれば、税務署に目を付けられますので要注意です。ICカード自体は少額ですが、小さい不正をする会社には大きな不正が隠れているのではないかと疑われるかもしれません。

 こういう問題を防ぐには、経理上の仕訳とは別に、駅の券売機やFelicaカードリーダで乗車履歴を印字して保存しておくのがいいでしょう。私的流用の抑止になりますし、税務調査で疑われる心配もなくなります。

 事業年度末でのデポジットは、貸借対照表の流動資産に計上されます。

・払戻し

 もし、チャージ残高1,000円(旅費交通費926円+消費税74円)、デポジット500円の社用カードを払い戻し、払戻手数料220円(税込み)を差し引かれて、合計1,280円の返金を受けたなら、次のように仕訳して旅費交通費を小口現金に戻します。
(借方) (貸方)
現金/小口現金 500 預け金 500
現金/小口現金 780 旅費交通費 926
支払手数料 204 仮払消費税 74
仮払消費税 16
 
 チャージ残高を使い切って0円にした社用カードを払い戻し、デポジット500円の返金を受けたなら、
(借方) (貸方)
現金/小口現金 500 預け金 500
となります。
 

【私用ICカードで立替払いさせる方法】

 私用と社用のカードを別々にするのは、経理の透明性を確保する上では便利ですが、次のような問題があります。

・定期入れに私用と社用のカード2枚を入れたままでは、改札を通れないので面倒です。
・使うべきカードを間違える可能性があります(社用カードを誤って私用に使ってしまうなど)。
・私用カードに定期券を載せていると、乗り越した区間だけ社用カードで精算することができません。
・社用カードを紛失する可能性があります(デポジットとチャージ残高は、会社の雑損失になります)。
・社員が増えると、社用カードが増えて、デポジットやチャージ残高の管理の手間が増えます。

 そうすると、少額の交通費は社員に立替払いさせておいて、あとから社内規定に沿って旅費精算するほうが、会社としては楽です。要するに、昔ながらの経理を採用するのです。ICカードが使えない交通機関もありますから、どのみち旅費精算の業務は必要です。

 社員が、現金(私費)210円で紙の切符を購入しようが、私用ICカードに現金(私費)をチャージした上で210円が運賃として引き落とされようが、会社としてはどうでもいい話なので、支払い方法に関知しません。

※2014年4月からは、首都圏では二重運賃(現金とICカードで異なる運賃)が導入されましたが、どの金額で支払うのか社内規程で決めてしまえばよいです。二重運賃でなくても、11枚綴りの回数券(10枚分の値段)を私費購入し、7枚をプライベートで使い、4枚を社用で使ったら、会社に対して何円請求できるか、などと考え始めるときりがありません。数円の誤差を管理しようとすれば、その手間にかかる人件費のほうが大きいでしょう。

 会社がデポジットやチャージ残高を負担して管理する必要もなくなります。デポジットを個人が負担するのはおかしいという人がいますが、前述のとおりデポジットは自分のお金を鉄道会社に預けているだけです。私用のICカードが将来不要になって払い戻せば、500円は所有者個人に返ってくることが保証されていますので、まったく損をしません(会社のお金でデポジットを支払うなら、払い戻したときの500円は会社に返す必要があります)。

 もし、社員が私用ICカードを紛失しても、社員個人の所有物ですから、会社として弁償する義務はありません。私用ICカードで乗車したことを確認したければ、上で述べた方法で乗車履歴を見ればよいです。

 営業社員など、外回りの多い社員(私費でいちいち旅費精算するのが面倒な場合)に限って、社用ICカードを持たせる方法も考えられます。

【追記】最近のアクセスログを見ていると、なにげにこのエントリが人気です。

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